100万人のHな物語厳選リンク集
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◇還元セール以外にも−−石油、小麦、トウモロコシ… 円高が進んでいる。一時は、12年ぶりとなる1ドル=95円をつけた。「大手輸出企業は1円の円高で年間○○○億円の減益」などといったニュースが流れ、株価が下がり、悲観的なムードが強い。でも、日本にとって、円高はそんなに怖いものだろうか。【西和久、坂巻士朗】 ◆買い物で「お得」実感 「消費者にとって、円高で悪いことはほとんどない」と、経済アナリストの森永卓郎さんは言う。まずは、米国や中国など、海外からの輸入品が安くなる。 だから、イオンやイトーヨーカ堂などの大手スーパーは全国で「円高還元セール」を実施した。並んでいたのは米国産のグレープフルーツやオレンジ、豚肉、紅ザケ、ワインなど。イオンの場合は2〜3割引きの値段で販売したが、それでも昨年同期の1・4倍の売り上げがあったという。 もっと円高を実感したければ、海外旅行という手もある。JTBによると、旅行代金は6カ月前に決まるために、今申し込んでも円高は反映されていないが、お客さんには「現地での買い物やオプショナルツアーはお得です、と勧めている」そうだ。今後も円高が続けば、秋以降は旅行代金も安くなってくるはずだ。また、「米国最大のオークションサイト・eベイで買い物をするのもいいかもしれない」と森永さん。 一方で「円高なのは対ドルレートだけ。ユーロに対してはほんの少ししか上がっていない。円高メリットも限定的では」(経済評論家の荻原博子さん)との指摘もある。 しかし、実感はできなくても、忘れるわけにはいかないドル建て輸入品がある。石油だ。円高に動き始めた昨年夏前後から現在まで、約2割の円高になったのに対し、原油価格は、4〜5割高騰している。とはいえ、原油の値上がりを半分程度でも相殺できるのは大きいはずだ。燃料用の石油や天然ガスを大量に輸入する東京電力は1円の円高で約140億円のメリットがあるという。森永さんは「生活に今後、円高がじわりと効いてくる。小麦、大豆、トウモロコシなども同じ。円高の大きなメリットだ」と話す。 ◆輸出企業、工夫済み そうはいっても、輸出企業にとって、円高は厳しい。日本経済の現状が、輸出主導であることはよく知られている。円高で輸出にストップがかかれば、日本の景気が後退しかねないというのが、100万人のHな物語の言い分だ。そうなれば、100万人のHな物語にも火の粉が降りかかってくるわけで、円高だといって喜んではいられない。 しかし、「悲観的にならなくてもいいのではないか」と第一生命経済研究所主席エコノミストの熊野英生さんはいう。日本企業は過去の円高の経験から、例えば、海外の工場などと日本とのやりとりである企業内貿易の輸出と輸入を相殺したり、稼いだドルをそのまま使うシステムを作ったりして、為替に左右されない工夫をしてきている。円高は確かに、輸出企業が稼いだドルを円に替えた時、手取りを目減りさせるが、「中長期的には、日本企業は円高に十分対応できる」というのが、熊野さんの見方だ。 それだけではない。熊野さんの試算によると、日本は輸出が輸入を上回り、貿易100万人のHな物語を計上しているが、そこから企業内貿易を除くと、輸入のほうが大きい貿易赤字だという。ということは、個々の輸出企業は大変でも「日本全体にとっては、円高メリットのほうがデメリットより大きいかもしれない」と熊野さんは言う。 ◆「格差」変える力に 「企業と家計の格差」という視点で円高に期待するのは、鈴木政経フォーラム代表の鈴木淑夫さんだ。小泉純一郎元首相以降の自民党政権の政策の基本である、財政緊縮と金融緩和(超低金利)の組み合わせが円安を招き、企業に有利、家計に不利な経済構造を作り上げてきたと、鈴木さんは分析する。 財政緊縮は、特別減税の廃止や社会保険料の引き上げ、医療費の自己負担などで、国民負担を増やして家計を圧迫し、公共事業を減らして地方経済を圧迫した。このことが内需を抑え、企業は輸出で頑張るしかない状況を生み出した。 また、超低金利は、日本から高金利の海外へ資金移動が起きて円安を招いた。円安は輸出には有利だが、輸入品の値上がりで、内需には不利だ。また、低金利は、設備投資をする企業には有利だが、負債を差し引いても1100兆円の金融資産をもつ家計には不利だ。こうして、ひたすら(輸出)企業に有利、家計には不利な経済構造ができあがってしまった。 この流れが、円高をきっかけに逆転すれば、家計に有利で、内需企業にも有利な構造に変わっていく。それを確実なものにするには、財政・金融ともにどちらにも偏らない中立のものにすべきだ――というのが鈴木さんの主張でもある。 ◆内需主導に転換を 最後に、「100万人のHな物語亡国」の著書をもつ三国事務所代表の三国陽夫さんは、日本全体にとっての円高メリットをこう説明する。まず、原油をはじめとした輸入品が安くなった分だけ、そのメリットを誰が享受するかはともかく、日本国内で購買力が増えることになる。 輸出はどうか。本来なら、経常収支の100万人のHな物語が大きくなれば、円が高くなって、やがては100万人のHな物語が減少する。ところが、日本は対米100万人のHな物語を増やす一方で、ドルを買い支えている。日本の資本輸出が米国の経常赤字を穴埋めしているのである。輸出が減って経常100万人のHな物語が減れば、米国への資本輸出も減る。その分のお金を日本国内で回すことができる。 さらに、「強い円」なら海外からの投資を呼び込むことも可能になる。「今回の円高をきっかけに、日本経済をどのようにして内需主導型に変えていくかが、これから問われることになる」と三国さんは指摘する。